古武道は80歳からでも始められる習い事!昇級祝いで深まる絆、米沢に広がる楽しさ
こんにちは。米沢藩・小山道場講師の小山です。今年も早くも年末です。
さて、新しい生徒が入門しました。また、年に一度行われる昇級審査でも合格者がありました。当道場からこの年末にあった嬉しい出来事とともに、生徒たちの絆と古武道の楽しさをお伝えします。

80歳での入門。年齢を超えて挑戦できる古武道という習い事
「武道は若い人のもの?」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし、古武道は年齢や体力を競うものではなく、自分の身体と静かに向き合いながら続けていく生涯の学びとなる習い事です。したがって、古武道は若い人のものというのは誤りで「心が若い人のもの」であって「体の若さを保てる」習い事です。
この冬、米沢藩小山道場に80歳の男性が新たに入門されました。
その姿は、年齢を理由に何かを諦めてしまいがちな私たちに、静かで力強い問いを投げかけてくれます。
その男性は宮崎県出身。東京での暮らしを経て、縁あって60歳のときに、米沢市の隣町・川西町へ移住されました。自然とともに生きる暮らしを選び、この地に根を下ろしています。
今年、芋煮会の会場で披露した当道場の古武術演武を見たことがきっかけで、米沢に古武道の道場があることを初めて知り、チラシを手に稽古見学に来てくださいました。
もともと体を動かすことが大好きで、現在はフィットネスジムに通いながら筋力を維持しているそうです。足に少し不自由さを感じつつも、無駄のない動きをする古武術への関心は強く、「本来の身体の使い方や姿勢を身につけたい」「健康で動き続ける体を維持したい」という思いから、古武道への入門を決意されました。
とても80歳には見えないほど背筋が伸び、凛とした佇まいが印象的です。二回り、三回りも年下の生徒たちとも自然に会話を交わし、今は新しいことを学ぶ時間そのものを楽しみながら、稽古に励んでいます。

武道館の神前で行われた入門の儀──米沢藩小山道場の大切な時間
米沢藩小山道場では、入門にあたり武道館内の神前で「入門の儀」を行っています。
それは形式のための儀式ではなく、これから古武道を学ぶ者としての心構えを整える、静かで大切な時間です。
古武道には、日本人の先人たちが大切にしてきた精神文化が、今も確かに息づいています。
武道館の中央には、日本武道の神様を祀る神前が据えられています。道場では、昇級や節目の行事など、特別なことがあるたびにこの神前に向かい、祝詞を唱えて生徒たちの武運長久と無病息災を祈願してきました。
入門の際には、神前に一礼し、自らの意思で「道」に入ることを誓います。そして、皆の前で今の想いを言葉にしたあと、入門証を受け取ります。
その場に立ち会う生徒たちもまた、新たな仲間を迎える緊張感と喜びを共有する時間となります。
この入門の儀が、生徒一人ひとりの中で学びへの覚悟を深め、想いを育てていく時間になることを、道場主として心から願っています。

1年半の積み重ねが形に。昇級審査合格と授与式のひととき
古武道の上達は、目に見えるスピードで進むものではありません。
日々の稽古を積み重ね、身体に少しずつ染み込ませていく中で、ある日ふと「変化」に気づくものです。
当道場では、毎年11月に一度だけ昇級審査を行っています。
これまでの稽古で学んできたことが、どれほど自分のものになっているのか。その積み重ねが静かに試される大切な機会です。
今回の審査では、古武道を1年半続けてきた女性が昇級審査に合格し、一級への昇級が認められました。
授与式では、道場の紋が入った證状と、名前が入った新しい帯が神前から進呈され、緊張した表情は次第に笑顔へと変わっていきました。場に居合わせた生徒たちからは、自然と温かい拍手が送られました。
努力が静かに実を結んだ、道場にとっても嬉しく、誇らしいひとときです。

紅白饅頭でお祝い。競わず、称え合う古武道のコミュニティ
昇級や節目の出来事を、皆で喜び合うこと。
米沢藩小山道場では、それもまた大切な「稽古の一部」だと考えています。
授与式のあとには、参列した生徒一人ひとりに紅白饅頭が配られました。
勝ち負けや優劣を競うのではなく、積み重ねてきた時間と挑戦を称え合う――
そんな空気が、道場全体をやさしく包み込みます。
古武道の技そのものを高めていくのは、一人ひとりの努力です。
しかし、その歩みを理解し、喜びを分かち合える仲間がいることは、道場に通う大きな魅力のひとつでもあります。
ともに稽古する年月を重ねるほど、その絆は自然と深まっていきます。
こうしたつながりの楽しさが、日本人らしいコミュニティとして地域に根づいていく――
それもまた、古武道が現代に受け継がれていく理由のひとつだと感じています。

今年入門した門下生たちは剣術へ。古武道の学びは次の段階へ進む
古武道の稽古は、段階を踏みながら少しずつ深まっていきます。
今年の春に入門した生徒たちは、基礎となる身体の使い方を重ね、今月から剣術の稽古にも進みました。
稽古しているのは、米沢藩でも主流の剣術のひとつだった一刀流の素振りです。
剣術はとてもシンプルであるがゆえに、自然体で木刀を振る「素振り」ひとつを取っても、実は奥深い武術です。
現代的な思考や、日常生活で身についた身体の使い方・感覚が、剣と自然の理を体現するうえで、かえって妨げになることも少なくありません。
剣を扱うことで、姿勢や間合い、相手との呼吸がより明確になり、これまで学んできた棒術の型の意味が、立体的に理解できるようになっていきます。
学びが「点」から「線」へとつながっていく、大切な節目です。
剣術に進んだ生徒たちには、焦らず、何度も繰り返し稽古を重ねながら、自分と剣に向き合うことでしか得られない古武道の学びをじっくり掴んでもらいたいと考えています。

稽古納めの一日。終わりよければすべてよし──年末に感じた古武道の価値
12月26日、本日、令和7年の米沢藩小山道場は稽古納めを迎えました。
一年を通して積み重ねてきた稽古を振り返り、心と身体を静かに整える大切な一日です。
年齢も経験も異なる生徒たちが、同じ場で稽古に向き合い、入門の誓いがあり、昇級の喜びがあり、新たな学びへの一歩がありました。どれも派手ではありませんが、確かな時間の積み重ねがあります。その積み重ねは、一人ひとりの身体技法の向上だけでなく、道場というコミュニティそのものの成長にもつながってきました。
古武道は、短期間で成果を競うものではありません。
続けることで、身体が変わり、考え方が変わり、人との関わり方が変わっていく。
その変化は静かで、しかし確実です。
「終わりよければすべてよし」
今日も米沢は雪が降っています。冬場になるとどうしても生徒の集まりが悪くなりますが、稽古納めに参加する生徒たちは一年間使用した道場の煤払いをします。
その時間の中で改めて、古武道は年齢や立場を超えて「体を動かす」という生きている命に寄り添った価値ある“学びの道”であり、日本人が昔から大切にしてきた関係性を学ぶための仕組みなのだと実感しています。
あなたの入門を心よりお待ちしています。


最後まで記事をお読みいただいてありがとうございます。仕事や講演の相談もお気軽にどうぞ。米沢藩・小山道場講師。江戸幕府から米沢藩士になった藤原氏の末裔。【古武道流派】九鬼神流棒術(熊野)/甲源一刀流剣術(甲斐)/浅山一伝流体術(会津)【所属団体役職】置賜民俗学会(会員)/米沢商工会議所(情報文化部会常任委員)【職業】HanaCinema株式会社(映像・ウェブクリエイティブディレクター)



