武士の子孫たちへ…冬の米沢市観光前に知っておきたいこと「上杉雪灯籠まつり」の本来の意味

上杉雪灯籠まつり鎮魂の塔

こんにちは。米沢藩・小山道場講師の小山です。

今年も上杉雪灯籠まつりが近づいてきました。米沢市の冬季観光のメインとして観光客が一番賑わう時期です。
しかし、いつもなら白銀広がる米沢市の1月中旬ですが雪がほとんど積もってません。
雪が降っては消えてを繰り返しています。
毎日毎朝、雪掻きや雪下ろしをしなくていいので非常に楽です。どうしましょう。

上杉雪灯籠まつりは、自然が相手のお祭りです。2月に入っても雪が積もっていなければ、祈るしかありません。
この記事をお読みになっている方は、雪が降ったら米沢市の上杉雪灯籠まつりを思い出していただければ幸いです。

上杉雪灯籠まつりとは

上杉雪灯籠まつりは、上杉神社を中心とする松岬公園周辺で行われる米沢市の冬のお祭りです。米沢市民や企業や学校等が数日かけて作った雪の灯籠やぼんぼりが200基以上立ち並び、毎年2月第2金曜日になると一斉に火が灯ります。翌土曜日と日曜日には、会場周辺でイベントがあり出店も立ち並びます。置賜盆地の山々に囲まれた米沢の厳しい冬が、灯火によって幻想的な雰囲気に包まれる2日間です。今年は第47回目になります。

公式ホームページはこちら
https://yukidourou.yonezawa-matsuri.jp/

上杉雪灯籠まつりの本来の意味

上杉雪灯籠まつりのコンセプトは「平和」と「市民参加」です。
そして、最近では「おもてなし」も含まれて3つのコンセプトになっています。
いまでは、「おもてなし」によるイベント色が強くなってしまいましたが、元々は戦争で亡くなった「故人を偲ぶ」ために上杉神社に集まって雪見酒をしたことが始まりになっています。

この祭りの尊さは「鎮魂」にあります。
その心は「世界平和」です。

この国や地域のために出兵して亡くなった御霊に献灯し、故人に思いをはせて米沢市民一人一人が平和を願うためのお祭りです。
その願いの場所が、上杉神社で最も各式が高い東南隅の高台に設けられる鎮魂塔です。
そこにいざなうように雪灯籠が立ち並びます。
会場まで足を運んだなら、まず献灯して祈りを捧げるのが醍醐味です。甘酒や玉こんにゃくの振る舞いもありますよ。

上杉雪灯籠まつり鎮魂の塔

この鎮魂塔が建つ高台は、戦国時代に最強の雄と称されて、義のために戦った上杉謙信の亡骸が上杉家米沢藩の祖として納められていた場所です。
今でも謙信公祠堂跡として柵に囲われたまま残っています。また、その横に巨大な招魂碑が建立されています。
この招魂碑は、幕末の戊辰戦争や西南戦争で命を失った米沢藩最後の武士たちの慰霊碑です。裏側の御影石には、戦争で亡くなった米沢藩士たちの名前が刻んであります。日清・日露戦争の御霊も合祀されています。

上杉謙信、米沢藩士、そして…明治・大正・昭和にかけた世界大戦で亡くなった御霊に、平和が崩れそうになっている時代だからこそ手を合わせてみてはいかがでしょうか。


観光の本来の意味は光を観ることです。それは、信仰心を持って訪れるからこそ見える光のことです。ぜひ、上杉雪灯籠まつりに火を灯しにお越しください。きっと、今年のお祭りが特別な光になるはずです。

もし、この冬に米沢市観光が叶わないのであれば、GWの桜の頃になったらお越しください。ここではライトアップされた夜桜を見ることができます。それでは、光ある素敵な旅を!

上杉神社のお堀の桜景色

山形県産・啓翁桜