ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

外国人も歓迎!ALTジェー最後の古武道稽古で集合写真
ジェー最後の稽古(集合写真)

米沢藩・小山道場講師の小山です。
今年も桜前線の北上が始まりました。春は出会いと別れの季節です。
米沢でも例年より桜の開花が早そうな気がします。

先日、道場に通ってくれていたALT(Assistant Language Teacher:外国語指導助手)で来日している、モントゴメリー・ジェー(愛称:ジェー)の送別会を行いました。

最終稽古となった3月13日(金)は7名、
その翌々日、3月15日(日)の送別会には11名が集まりました。

彼がどれだけ周囲に愛されていたか、それだけで十分に伝わる時間でした。

上杉神社の桜
米沢の桜(上杉神社/米沢城趾)

■ 出会いは「やらせてほしい」という強い意志から

ジェーが来日したのは2024年6月。
米沢に来てすぐ、SNSを通じて「古武道をやりたい」と連絡をくれました。

英語で何度も繰り返された言葉。
「I want to learn Japanese martial arts」

しかし正直なところ、私はすぐには入会を許可しませんでした。
文化や価値観の違いから、外国人は継続できないケースも少なくないからです。

代わりに、1ヶ月の体験期間を設けました。

そして最後に聞きました。
「続けるかい?」

彼は少し間を置いて、いつものように
「えっと…」と英語と日本語を頭の中で変換しながら、

満面の笑みで、こう答えました。

「はい、やります!」

その瞬間、「これは必然の出会いだ」と信じ、自分自身の成長のためにも彼を迎え入れることにしました。

ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

■ 言葉を超えて伝わる“身体の学び”

ジェーは日本語が得意ではありませんでした。
最初は無口で、会話も最小限。

それでも、翻訳アプリを使いながら、
一つひとつ丁寧に理解しようとする姿勢がありました。

古武道は、言葉よりも“体験”が中心です。

 袴の履き方
 紐の結び方
 構え
 間合い
 重心の使い方 etc...

さらに、日本の神道や修験道といった精神文化の考え方が含まれていることも伝えていきました。
彼はそれらを「知識」ではなく、「体」で吸収していきました。

ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

■ 筋力ではなく「脱力」を学ぶ

アメフトで鍛えた体、音楽で培った肺活量。
ジェーは圧倒的なフィジカルを持っていました。

しかし最初は、その筋力に頼る動きが目立ちました。

古武道では、それでは通用しません。

必要なのは「脱力」「軸」

稽古を重ねる中で、彼は徐々にそれを掴んでいきました。
そしていつしか、後輩にこう声をかけるようになっていました。

「リラックス」

その一言に、彼の成長がすべて表れていました。

ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

■ 古武道は“生き方”に現れる

ジェーは道場の外でも、日本文化を積極的に学び続けました。

ジャズを愛し、仙台のジャズフェスに出演。
米沢民謡一家に所属し、太鼓奏者として祭りにも参加。
長期休暇には車で京都まで旅をする。

そしてALTとしても評価され、東北各地で指導するまでに成長していきました。

彼は言いました。

「私は東北のALTでNo.1だ」

冗談のようでいて、確かな自信に満ちた言葉でした。

ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

■ 最後の稽古、そして送別会

最終稽古では、「彼と組みたい」という声が自然と上がり、
全員と稽古できるように進めました。

最後、彼は笑顔で私の袖を掴みました。
「最後にあなたとやりたい」と言わんばかりに。

当然、投げ飛ばしてやりました。
そして、彼にも投げてもらいました。

それが、私たちなりの別れの挨拶です。

ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

送別会は、彼のためにアメリカンテイストのカフェバーChopChapsを貸し切り開催。

 唐揚げ、ポテト、ホットドッグ
 笑い声の絶えない時間。

彼は日本語で、ゆっくりと挨拶をしてくれました。

流暢ではない。
でも、想いははっきりと伝わる言葉でした。

ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

日本文化としての贈り物

私たちは、寄せ書き文化と武士の精神を伝えました。

 手拭いに書いた寄せ書き
 そして、新品の木刀

彼は言葉を失うほど喜び、
感情が込み上げているのがはっきりと分かりました。

葉よりも大切なもの

最後は、一人ひとりが英語でメッセージを伝えました。

彼は発音を訂正しながら、嬉しそうに聞いていました。

そして最後に、彼自身の言葉で語ってもらいました。

正直、私は半分も理解できていません。

それでも、十分でした。

 なぜなら——
 私たちは武道家だからです。

言葉ではなく、その人の「在り方」を見るからです。

ALTの送別会から見えた古武道の価値!教職員にこそ必要な“身体の学び”とは

■ 古武道は“行動を変える学び”

今回、改めて確信しました。

古武道での学びは、必ず行動に現れます。

ジェーは、自分の持つ力を活かし、文化を学び、人と関わり、結果を出しました。

それは単なる護身術ではありません。

自分を活かすための「行動のトレーニング」です。

■ 先生と呼ばれる指導者・教職員・ALTの方へ

教育とは、知識を教えるだけではありません。

  • どう在るか
  • どう向き合うか
  • どう伝えるか

それらはすべて、身体と深く結びついています。

古武道には、日本から失われつつある文化と精神があります。

そしてそれは、
人の上に立つ「先生」と呼ばれる立場の方にこそ、必要なものです。

まずは一度、体験してみてください。

経験は問いません。
運動が得意である必要もありません。

必要なのは、ほんの少しの興味だけです。

ジェーのように——

「やってみたい」

その一歩が、あなた自身を変えるキッカケになるかもしれません。


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古武道とは、江戸時代(今より150年以上前)まで武術や武芸の流派として体系化され、現代まで守り受け繋がれている日本古来の武道のことです。

現在、日本には100以上の古武道流派が残っています。
これらが現代の日本武道の原点です。

筋肉量が少ない人でも多い人に負けない力の使い方や、身体操作を身につけていただけます。また、数百年続く流派のカタを継承していただけます。運動機能向上の体づくりや心身鍛錬・護身術としても最適です。

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第一義
江戸時代(今より150年以上前)まで武術や武芸の流派として体系化されて、現代まで守り受け繋がれている日本古来の武道のことです。言ってしまえば〝国を守るために侍が身につけた武術〟です。現在、日本には100以上の古武道流派が残っています。剣術、柔術、槍術、弓術、砲術 etc...これらが現代武道の原点です。米沢藩・小山道場では、上杉謙信公の「第一義」の扁額と共に古武術稽古ができます。