突然の危険に備える— 米沢市切りつけ事件から考える「身を守る力」今こそ護身術を学ぶ

今月20日、米沢市の住宅街で刃物による切りつけ事件が発生しました。日本の治安は徐々に悪化していて、それは都心だけでなく地方も同様です。
このような懸念から、当道場では体験会開催時に各学校教職員向けに無料招待の案内をお出ししておりました。小学校の登下校中の通学路には、見守り隊の大人が立っている姿は見受けられますが、改めて、突然の危険から「身を守る力」について大人が真剣に考えていただけましたら幸いです。
■ 住宅街で起きた切りつけ事件――身近な場所での危険性
2026年1月20日、米沢市本町1丁目の住宅街で、帰宅中の男性が背後から刃物のようなもので切りつけられる事件が発生し、犯人は現在も逃走中です。被害男性は軽傷とみられていますが、地域住民に衝撃を与えています。
この事件は、「怨恨」なのか「通り魔」なのかは不明ですが、普通の住宅街で起きています。私たちが暮らす日常の中にも、予想できない危険が潜んでいる可能性があるということを再認識させられます。
■ 日本でも再び増え始めている「身近な犯罪」
「日本は安全な国」という認識は、長年にわたり事実でした。実際、刑法犯の認知件数は2002年をピークに、20年近く減少を続けてきました。
しかし、その流れがここ数年で変わりつつあります。
警察庁の統計によると、刑法犯の認知件数は2022年を底に増加へ転じ、2023年・2024年と3年連続で増加しています。
- 2022年:約60万件
- 2023年:約70万件(前年比 約17%増)
- 2024年:約73万7千件(さらに増加)
特に増えているのが、路上や住宅地など、私たちの生活圏で起きる犯罪です。暴行・傷害・街頭犯罪といった、「偶然居合わせた人が被害に遭う可能性のある犯罪」が増加傾向にあります。

刃物を用いた事件は「特別な場所」だけではない
近年報道されている切りつけ事件を見ると、発生場所は
- 住宅街
- 駅構内
- 公共施設
- 学校周辺
など、決して特殊な場所ではありません。
今回の米沢市住宅街での切りつけ事件もその一例です。「学校の外だから関係ない」「地方だから大丈夫」とは言い切れない状況になっています。
警察庁の分類でも、傷害事件の多くは日常生活圏で突発的に発生しており、事前に予測することが難しいのが特徴です。
データが示しているのは「恐怖」ではなく「備えの必要性」
重要なのは、「日本が危険な国になった」と煽ることではありません。
統計が示しているのは、“これまで想定していなかった事態が、現実に起き得るようになってきた”という事実です。
だからこそ、子どもたちを守る大人や教職員に求められるのは、
- マニュアルを知っていること
- 防犯器具があること
だけでなく、
- とっさの場面で身体をどう使うか
- 距離をどう取り、どう守るか
といった、身体レベルでの備えです。これは知ったからすぐにできるものではありません。日々の稽古と鍛錬によって身に付く能力なのです。

■ なぜ護身術を学ぶ必要があるのか?
日常生活の中で「いざ」という時に身を守る力があるかどうかは、単なる偶然ではありません。
- 即座に危険を察知する感覚
- 自分の体を安全に使うための動き
- 危険から距離を取るための技術
こうした力は、理論だけでは身につきません。身体で反射的に動けるスキルとして習得することが重要です。
古武術が「現代の護身術」として役立つ理由
古武術は、戦場での実戦を起点とした身体運用の体系です。
特に棒術や体術は、相手との距離(間合い)や身体の重心を操ることを重視し、現代の護身術としてのエッセンスが多く含まれています。
1. 間合いの感覚が身につく
危険な距離に近づかれた時、どの距離で何をするべきかを身体で理解できるようになります。
2. 棒や道具への対応力が高まる
多くの場面で役立つ「長い道具(例:傘・杖・さすまた)」の扱い方がわかります。また、それらによる対処法も身につきます。
3. 姿勢とバランスの安定
パニックになった時でも、崩れない身体の軸を持てるようになります。相手に倒されるのではなく、相手を倒すことさえできます。
4. 反応速度と決断力の強化
相手の動きに対して身を守るために「何をすべきか」を「身体で判断」しやすくなります。
5. 心理的な安心感が生まれる
学んでいるという実感が、自信となり日常生活での不安を軽減します。これらは、散発的な防犯講座とは異なる「実践的な身体技術」です。

日常生活で実践できる簡単な護身の心得
- 周囲の視線を意識する
- 不審者を見たら即座に距離を取る習慣
- 安全確保のための動きの反復練習
- いざという時に身を守る身体の使い方
これらは、古武術の基本に共通する習慣です。
■ 終わりに:備えは日常から
米沢市での切りつけ事件は、「危険は特別な場所で起きるものではない」という現実を、私たちに突きつけています。備えとしての防犯意識はもちろん大切ですが、自分の身体の動かし方を理解し、反応できる力を身につけることこそが最も基本の護身術です。
地域を守る大人と教職員の方々には、「万が一の時、自分は落ち着いて動けるだろうか」と問いただしていただければ幸いです。当道場には、保護者とお子様が一緒に古武術を学べる家族会員制度があります。ぜひご検討ください。
また、教職員の方は以下の記事も合わせて一読いただき、心身ともに安全に学校生活できるよう、日常からの備えを意識していきましょう。
防犯用に子供のランドセルに付けられる防犯アラーム


最後まで記事をお読みいただいてありがとうございます。仕事や講演の相談もお気軽にどうぞ。米沢藩・小山道場講師。江戸幕府から米沢藩士になった藤原氏の末裔。【古武道流派】九鬼神流棒術(熊野)/甲源一刀流剣術(甲斐)/浅山一伝流体術(会津)【所属団体役職】置賜民俗学会(会員)/米沢商工会議所(情報文化部会常任委員)【職業】HanaCinema株式会社(映像・ウェブクリエイティブディレクター)

