米沢市で観光体験できる文化的な旅行プラン3選「祈り・城下町・アート」の歴史に触れる旅

米沢在住でその魅力と独自性を知っている一人として、米沢市観光のお手伝いをいたします!歴史を深く語るよりも、現地で体験して感じることの方が皆様の人生の豊かさに繋がっていくと思います。そんなことから、今回は米沢市で観光体験できる文化的な旅行プランをご紹介します。
はじめに
山形県南部。磐梯朝日国立公園の飯豊山系に位置する米沢市は、自然の美しさと歴史的な魅力、そして人々の厳かさと温かさが溢れる街です。日帰り観光地として知られていますが、実は「滞在体験型」の観光ができることをご存知でしょうか?
見る・知る・触れる──
そこに心や身体で味わう時間が加わったとき
旅はもっと深く、もっと記憶に残るものになります。
どのプランも〝米沢市だからこそ体験できる〟特別なひとときになるはずです。以下の3つに厳選してご紹介します。
観光体験できる旅行文化プラン一覧
📿心願祈願 体験プラン|美肌の湯と山伏の「祈り」にふれる1日

平安時代に絶世の美女と名高い小野小町の湯治の里で美肌の湯で肌を整え、名物の豆腐ソフトクリームで小腹を満たす。そして、静かな温泉街に佇む山伏寺で、毛筆やパワーストーンに願いを込めて──。
静と動、自然と祈り。お肌と想いを整える〝カップル旅行〟にぴったりのプランです。
🥋 城下町 体験プラン|米沢藩の歴史「食」と「武術」を体験する1日

元・米沢城があった上杉神社周辺を散策して、米沢藩士に奨励されたタンパク源である米沢鯉と、藩体制が終わってからのタンパク源である米沢牛の食べ比べ。そして、六尺棒や木刀を構えて、静寂の中で打ち込む──。
城下町の武士の歴史を体で感じて、心技体を充実する〝大人旅行〟にぴったりのプランです。
🎨 民芸アート 体験プラン|米沢藩の半農藩士の「暮らし」を体験する1日

平安時代から創建された有名なあじさい寺にお参りして、江戸時代の米沢藩よりこの地域に奨励された伝統蕎麦を古民家で堪能する。そして、半農藩士たちの信仰と手仕事の民芸品に触れる──。
伝統色彩のアート、米沢藩の信仰文化にもふれる時間は〝家族旅行〟にもぴったりのプランです。
📿心願祈願 体験プラン|美肌の湯と山伏の「祈り」にふれる1日
テーマは美容と健康と自然への祈り!
年齢問わずカップルの宿泊旅行におすすめ![小野川地区]



① 小野川温泉で、美肌と静けさに包まれて
米沢市中心部から車で約20分。川沿いに広がる小野川温泉街は、ナトリウム・カルシウム塩化物泉の泉質で、肌にやさしく湯冷めしにくい“美肌の湯”として知られています。入浴後は肌がツルツルとします。その昔、絶世の美女と名高い小野小町が療養のために滞在して湯浴みしたという伝説が残り、湯治・リトリートを目的に訪れる方も多い温泉街です。東北を制した武将としても知られる伊達政宗も湯治場として利用した歴史が残っています。
梅雨の時期は蛍が飛び交うほどの自然と、歴史が守られた温泉街にはさまざまな旅館の他、共同浴場もあり、宿泊以外にも日帰り入浴ができます。
小野川温泉街(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 全国温泉地満足度ランキング秘湯部門2位 ※じゃらん人気温泉地ランキング2025 |
所要時間 | 1時間〜一泊 |
営業時間 | 各旅館による ※共同浴場は6時00分〜20時30分 |
費 用 | 各旅館による ※共同浴場は200〜250円 |
② 明治創業の豆腐店で、名物豆乳ソフトクリームを
小野川温泉街を歩くと現れる明治元年から続く「佐藤豆腐店」。地元・山形県置賜地方の秘伝大豆から作られた濃厚な豆腐として、地元人気はさることながら、なんと豆乳で作ったソフトクリームが食べられます。大豆は体に良いんです。 優しい甘さとまろやかな食感は、見た目から豆腐嫌いな人にも人気で、入浴後にぴったりのごほうびです。
店主が阪神タイガースの熱狂的なファンであることから、店内は豆腐とタイガース化している不思議さと面白さがあります。また、全国でも珍しい豆腐地蔵がお店の裏手に祀られているので、合わせて散策してみて。
佐藤豆腐店・豆腐地蔵(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 米沢市No1豆腐ブランド、昔ながらの希少な豆腐店 |
所要時間 | 15分程度 |
営業時間 | 8時30分〜18時30分 |
費 用 | ソフトクリーム330円 |
③ 写経と念珠作りで“祈りの文化”を体験
小野川温泉街を望むように高台に佇む「甲子大黒天本山」では、写経体験・念珠作り体験ができます。古くは米沢城下の北側にあり、山伏の修行道場としての歴史を持つこの寺院では、静寂な空間での写経と念珠作りを通して、心を整える時間を過ごせます。御朱印が人気で、パワーストーンを選んで自分のお好みで作れる念珠作りは若いカップルも体験に訪れています。体験後の最後に住職のご祈祷を受けることも可能です。
心を落ちつけてお祈りの願いを形にする──。思い出作りと絆作りの体験としてもおすすめです。
甲子大黒天本山(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 山形県人気のパワースポットに常連的に選出、特別な御朱印 |
所要時間 | 1時間程度(要予約) |
受付時間 | 9時00分〜16時00分 |
費 用 | (写経)1,000円(念珠作り)2,000円 |
まとめ:温泉街での「静かな体験観光」
にぎやかな観光地だけではなく、静けさにふれる体験ができるのが米沢市の魅力。写経や念珠づくりは、観光という枠を超えた「心を整える時間」になります。温泉、豆腐スイーツ、そして山伏の祈り――。
あなただけの“米沢時間”を過ごしてみませんか?
🥋 城下町 体験プラン|米沢藩の歴史「食」と「武術」を体験する1日
テーマは米沢藩士の義の精神!
贅沢な大人旅行におすすめ![上杉神社〜駅前地区〜金池地区]



① 上杉神社と上杉博物館で戦国〜江戸時代の米沢を感じる
米沢観光の定番といえば、武神・上杉謙信公を祀る「上杉神社」。元々は米沢城があった場所ですので、歴史に興味がある方はもちろん、初めて訪れる人でも日本の武士文化に触れられるスポットです。隣接する「稽照殿」「上杉博物館」では、甲冑や刀剣、古文書などを通して上杉家の足跡を辿ることができます。
上杉神社周辺は、四季折々の風景も魅力で、春は桜、秋は紅葉が境内を彩る写真スポットになっています。参拝以外にも、境内のボランティアガイドの話を聞いたり、お堀を一周歩いたりしながら、米沢の歴史を想像して感じながら、静かなひとときを過ごせます。
上杉神社(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 米沢市観光の超定番、最も観光客で賑わう |
所要時間 | 2〜3時間程度 |
受付時間 | (稽照殿)9時30分〜16時00分 (上杉博物館)9時00分〜17時00分 |
費 用 | (稽照殿)一般700円(上杉博物館)一般410円 |
② 本場の米沢鯉・米沢牛を味わうグルメ体験
米沢観光の醍醐味といえば、「鯉」「牛」のタンパク源食べ比べ。江戸時代に米沢の武士たちが藩主・上杉鷹山公から奨励された食べ物が「鯉」です。米沢鯉は観賞用だけでなく、おもてなしの食用としても用いられます。清らかな水源で養殖された鯉は臭みがなく、その調理法は伝統的な味付けから近代的なイタリアン料理まで豊富です。そして、明治時代には、イギリス人教師であるチャールズ・ヘンリー・ダラスが食用として見出したのが米沢牛です。外国人たちへのお土産で一気に有名になりました。ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶ。その美味さは、最高級和牛として世界中のグルメ家に知られています。
米沢駅周辺は米沢牛の名店が立ち並び、米沢鯉料理が食べられる古民家料亭があります。米沢でしかできない最高品質グルメ観光に舌を包めます。
米沢鯉六十里(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 昔ながらの溜池で稚魚から育てる米沢鯉専門の割烹料亭 |
所要時間 | 1〜2時間程度 |
受付時間 | 予約がおすすめ |
費 用 | (ランチ)2,000〜2,800円/人 (ディナー)5,000〜10,000円/人 |
米沢牛黄木レストラン金剛閣(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 東京駅にも出店する本店、大正年間創業の老舗 |
所要時間 | 1〜2時間程度 |
受付時間 | 予約がおすすめ |
費 用 | (ランチ)2,500〜4,500円/人 (ディナー)3,850〜20,000円/人 |
③ 「古武道」体験で武士の身体文化を学ぶ
米沢で唯一、武士らしい観光体験ができる「古武道」。日本らしい精神・身体文化として、世界中から見直されているのが古武道です。戦国〜江戸時代に実際に米沢藩士らに使われていた剣術・棒術・体術などの総合的な武術です。袴を着て、武士の礼法や身体の使い方、間合い、重心の感覚を体感できます。観光の合間にも体験できる2時間コースなので、武術を一切やったことが初めての方でも安心。米沢の歴史を知ってから体験すれば、城下町らしさをより感じることも。
米沢市営武道館には、上杉謙信公の「義」が飾ってあります。友達や大切な家族と一緒に、袴を着て写真撮影して城下町らしい観光の思い出になることでしょう。
米沢藩小山道場(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 上杉鷹山公を警護していた武士の末裔が講師、道場貸切 |
所要時間 | 2時間程度 |
受付時間 | 手ぶら体験9:00〜18:00(要予約) |
費 用 | 10,000円/人 |
まとめ|「見る」「食べる」「体験する」がそろう城下町米沢の旅
歴史を感じ、美味を楽しみ、日本の身体文化に触れる──そんな多面的な旅が叶うのが米沢市の魅力です。今回ご紹介した3つの体験を組み合わせれば、他では味わえない旅の思い出になること間違いなし。
観光だけではなく、自分自身の心と体をリフレッシュしたい方、リライブしたい方、ぜひ米沢市で特別な1日を体験してみませんか?
🎨 民芸アート 体験プラン|米沢藩の半農藩士の「暮らし」を体験する1日
テーマは原方衆の暮らし方!
歩いてちょっと体験したい家族旅行におすすめ![南原地区]



① 上杉家の信仰を伝える「笹野観音」で祈りにふれる
平安時代から創建された笹野観音堂はあじさい寺として有名です。7月頃には2,000株のあじさいが咲きます。本堂本堂は茅葺き屋根で貴重な彫刻が施され、山形県指定有形文化財になっています。上杉家の祈願所として、米沢藩の神聖な場所でもある由緒ある寺院です。この地域に住んだ米沢藩士でありながら、農民として開拓をし続けた半農藩士「原方衆」の信仰の中心です。裏山は斜面山(なでらやま)といい、日が沈んでいく火伏の霊峰しても知られています。
また、表は寺院、裏は神社となっていて、全国でも珍しい江戸時代までの神仏習合の名残を今でも見ることができます。米沢の中でも、特に歴史が古く田舎らしい四季折々の景色と澄んだ空気に癒される隠れた名所です。
長命山 幸徳院 笹野寺|笹野観音(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 山形県指定有形文化財、アニメ映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」ロケ地 |
所要時間 | 30分程度 |
受付時間 | 9時00分〜16時00分 |
費 用 | - |
② 江戸時代からの「原方そば」を味わう
笹野観音参拝後は、すぐ近くの古民家のそば処で「原方そば(はらかたそば)」をぜひご賞味ください。江戸時代に米沢藩からこの地域の農業として受け継がれてきた蕎麦作り。そして、在来種を使った十割そばは、風味・香り・食感すべてが別格です。わざわざ県外からも食べに来られる人も多くいます。細打ちでコシがあり、噛むほどにそばの甘みが広がります。地元の山菜や季節の小鉢と一緒に、素朴で滋味深い郷土の味を堪能できます。
曲家なでら(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 江戸時代の伝統建築を移築、地元で生産される伝統蕎麦 |
所要時間 | 1時間程度(土日はとても混みます) |
受付時間 | 11時00分〜15時00分 |
費 用 | (もりそば)770円〜 他 |
③ 「笹野一刀彫り絵付け体験」で民芸の心にふれる
米沢を代表する郷土民芸「笹野一刀彫」の絵付け体験。木彫りの鷹は「お鷹ぽっぽ」と呼ばれ、米沢藩の財政を立て直した上杉鷹山公が奨励したとされる米沢藩の産業政策の象徴でもあります。「原方衆」の半農藩士やこの地域に住む農民たちの冬場の副業としました。魔除けや縁起物として親しまれてきました。米沢市には、一家に一個「お鷹ぽっぽ」があります。地元で採れる天然木を使用した手作りのため、形はそれぞれで一点もの。小さな安価なものから、大きな高価なものまで料金も様々な伝統的なアート作品です。
体験では、あらかじめ職人が彫った無地の「お鷹ぽっぽ」に、筆と絵の具で自由に絵付けできます。手作りの作品はそのまま持ち帰ることができ、旅の思い出やお土産にもぴったりです。模様や色の意味なども含めて、クリエイティブな民芸の奥深さに自然と引き込まれます。
笹野民芸館(MAP|URL)
行っておきたいポイント | 1200年前から続く伝統工芸、笹野一刀彫りの実演が観られることも |
所要時間 | 1時間程度(要予約) |
受付時間 | 10時00分〜16時00分 |
費 用 | 1,100円〜/人 |
まとめ:上杉家の半農藩士の暮らしを“手で感じる”観光体験
歴史ある観音堂の神仏に手を合わせ、素朴で味わい深い手打ち蕎麦、そして暮らしを支えた民芸品の手仕事——
米沢の暮らしの文化をまるごと体感できるプランです。ふだん観光では気づきにくい、人々の暮らしや本来の“米沢らしい生き方”がここにはあります。米沢を観光してみて感じたことを「お鷹ぽっぽ」に彩ってみませんか?
以上、厳選した体験型観光プラン3選でした。今回の記事はいかがでしたか?
参考にしてご自身なりにプランをカスタマイズして、米沢市を楽しいでいただけましたら嬉しいです。
もし、たくさんの方に好評でしたら、別の観光プランや宿泊所情報など米沢の観光に関する記事を執筆してみたいと思います。
米沢での体験と思い出が、
あなたにとって最良の体験になりますように!

最後まで記事をお読みいただいてありがとうございます。仕事や講演の相談もお気軽にどうぞ。米沢藩・小山道場講師。江戸幕府から米沢藩士になった藤原氏の末裔。【古武道流派】九鬼神流棒術(紀州熊野)/甲源一刀流剣術(甲斐)/浅山一伝流体術(会津)【所属団体役職】置賜民俗学会(会員)/米沢商工会議所(議員)【職業】HanaCinema株式会社/映像・ウェブクリエイティブディレクター。