米沢らしい習い事 古武道・九鬼神流棒術 中伝九の形「天地人」
こんにちは。米沢藩・小山道場講師の小山です。
毎週金曜日は九鬼神流棒術の稽古日です。米沢市営武道館で行なっています。
武道館には、藤原輝虎(上杉謙信)第一義の額が掲げられています。
稽古中は身が引き締まる思いがします。
きっと先人の武士たちも同じ思いで武道の稽古していたのでしょう。
本日は「天地人」の形を中心に稽古しました。
九鬼神流棒術の中伝で九番目に身につける形です。
一、太刀落
九鬼神流棒術 中伝より抜粋
二、払
三、小手附
四、向詰
五、跳挙
六、打留
七、附入
八、五輪砕
九、天地人
上杉家第二代上杉景勝(米沢藩初代藩主)の家老である直江兼続を主人公にしたNHK大河ドラマが、2009年に放送されました。そのタイトルと同じ天地人です。
天地人とは、宇宙間に存在ある万物の意。またその順位のことです。
紀元前に中国で活躍した儒学思想家・孟子は「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」と教えました。私は、高校生の頃に古典授業でこれを習った時に、内履きに天地人とマジックで書いておりました。そんなことはとうの昔に忘れていましたが、今はそれを武術として身につけて体現しています。
この宇宙に存在する因果は、時空を超えてこのような面白い体験を与えてくれます。
以下の動画が天地人の形です。
天より力を与えられるごとく棒を両翼之構え、天地開闢のごとく地から振り上げます。
この時に、相手の武器や小手を払い除け、そのエネルギーが鳩尾(みぞおち)に向かって突き放たれます。続いて、天から脳天へ棒が振り下ろされ、喉仏(のどぼとけ)に向かって仕留めとなる突きを放ちます。
天地人の名に相応しい技であり、巧妙な形です。
直江兼続の話に戻ると、彼は文武両道で優秀な軍師でした。直江船(千または仙)とともに現在も残っている米沢城下を築いたことから、陰陽道に精通した家系であったのが間違いありません。戦国時代、軍師とまちづくりは陰陽師の仕事だったからです。また、直江兼続に関連する古文書を読んでみると、山岳信仰を深く信仰し、儒学を熱心に学んでいたことも伺えます。
熊野修験の古武術として伝わっている九鬼神流棒術は、そんな直江兼続が生きていた時代にもあった古武道です。
彼もまた棒術の使い手だったことでしょう。
第一義の前で稽古しているとそう感じてくるのです。
古武道において感じることはとても重要です。これは体を動かして歴史を紡いでいる者にしかわからない感覚なのかもしれません。
さて、棒術をやってみたい人がいたら、米沢らしい習い事としてぜひお気軽に声をおかけください。
毎週金曜日は本稽古、毎週火曜日は自主稽古で他流の方々とも稽古しています。春になれば、体験会も開催する予定です。
最後まで記事をお読みいただいてありがとうございます。仕事や講演の相談もお気軽にどうぞ。米沢藩・小山道場講師。江戸幕府から米沢藩士になった藤原氏の末裔。【古武道流派】九鬼神流棒術(紀州熊野)/甲源一刀流剣術(甲斐)/浅山一伝流体術(会津)【所属団体役職】置賜民俗学会(会員)/米沢商工会議所(議員)【職業】HanaCinema株式会社/映像・ウェブクリエイティブディレクター。